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手術手技 研修報告等


第3回 人工股関節・膝関節再置換術研修会

ICJR(関節再建国際会議 International Congress for Joint Reconstruction)
第3回人工股関節・膝関節再置換術研修会(3rd REVISION HIP & KNEE COURSE)
  • 日程:2015年5月1日~2日(渡航期間:4月30日~5月4日)
  • 開催地:フィラデルフィア(米国:ウェスティンフィラデルフィア、ペンシルベニア大学)

第二整形外科部長/付岡 正

フィラデルフィアで開催された人工関節再置換術セミナーに参加してきました。ICJRというのは以前コンピューター手術の国際学会に人工股関節の演題を出した時の主催団体で日本からも京都大学の松田教授をはじめ関節外科では有名な先生方も会員になっています。
人工関節再置換術(人工関節のやり直しの手術;化膿したり、人工関節が壊れたときに行う手術)は当センターで年に数例行われておりますが、症例により難易度が異なり、頭を抱えるケースも少なくありません。初回の人工関節では通常行わないような骨切りなどの手技が必要になるケースもあります。しかし、日本では人工関節の数自体が少なかったため、私(平成6年卒)が後期研修で在籍していた10年前の大学では再置換に必要な骨切りや手技の詳細を系統だって学ぶ機会はありませんでした。3年前に人工股関節再置換術用K-Tプレートで有名な京都市立病院の田中千晶先生に手術見学をおねがいしましたが、手術が当日中止になってしまいました。(しかし、論文や教科書に書かれていない疑問に直接答えて頂き、以降のK-Tプレートの手術に自信を持って臨むことができるようになりました)。
このように再置換の数の少なさから国内では再置換術を学ぶことが極めて難しく再置換術が日本の初回手術の数とほぼ変わらないアメリカへの短期手術見学を計画していた矢先に今回の研修会の英語での広告が目に留まりました。研修会では股関節、膝関節両方でご献体を使った実際の手技を学べるところが大きな魅力でした。
研修会参加にあたり、昨年購入して頂いた再置換術の教科書を斜め読みしました。

教科書は600ページを超える内容です。


今回の研修会の講師陣はこの本の執筆者も多く含まれており、講義内容はほぼこのテキスト通りでした。この通読は英語での講義を理解するのに大変役に立ちました。

4月30日午前に成田を出発しました。ダラスを経由し、フィラデルフィアに17時00分前に到着しました。
研修会は5月1日~2日の2日間開催で非常にタイトなスケジュールでした。6時00分から始まる講義は午前中に休み時間を入れないで5時間を超える内容で、午後にはペンシルベニア大学に移動して、ご献体を使った手技の実際を体験しました。1日目が股関節、2日目が膝関節でした。日本からの参加者は私だけのようでした。

スペインから来られていた先生に写真をお願いしました。

ペンシルベニア大学でのご献体を使った手術手技研修


手術手技研修での1日目の股関節では、はじめ当センターで使っていない後方アプローチのテーブルだったのですが、会長がたまたま私のテーブルに来たときに前側方アプローチのテーブルがないかを尋ねたところ、世界的に有名なMayoクリニックのDavid Lewallen教授のテーブルに行かせてもらえました。現在使っている展開法からの再置換術の要点の解説は非常に勉強になりました。2日目の手技研修ではニューヨークにあるこちらも世界的に有名なHospital for special surgery(HSS)の膝のトップであるSteven Haas先生のテーブルが割り当てられました。
どちらの先生にも直接質問ができ大変貴重な体験となりました。

Haas先生とは更衣室でたまたまふたりとなり、簡単なお話をさせて戴きました。HSSでは年間1万件の手術を20人の術者でこなしており、このうちの15%が再置換術とのことでした(なんと1000例を超えています)。これから日本でも再置換術が非常に多くなることが予想されます。

5月3日朝フィラデルフィアを出発し、シカゴを経由して5月4日夜に千葉に帰ってきました。

今回の研修では最新の再置換術の知識を系統だって確認し、さらに展開法の実際を世界的権威から直接、コツや注意点を教わることができ、大変有意義でした。今回のセミナーを明日からの実臨床に生かしつつ、さらなる手技の向上を図っていきたいと考えております。