人工関節について
千葉リハビリテーションセンター人工関節の特色をご紹介します。
1. 術前3次元画像シュミレーション(術前計画)
股関節、膝関節ともにCT画像から人工関節を入れた状態を立体として再現できるコンピューターソフト(ZedHip, ZedKnee)を導入。
論文として認められた当センター独自の術中指標(コンピューターソフトで計測しておきます)をもとに計画通りに手術を進めます。
論文として認められた当センター独自の術中指標(コンピューターソフトで計測しておきます)をもとに計画通りに手術を進めます。
3. 疼痛対策
1.抜糸・血抜き管の抜去が不要です
抜糸・管を抜くことによる痛みがありません。
皮膚の下を細かく埋没縫合(糸が表面に出ないようにして合わせます)を行い、さらに医療用のテープで補強をします。
(注)黒い線は縫合の目印で、傷ではありません。
皮膚の下を細かく埋没縫合(糸が表面に出ないようにして合わせます)を行い、さらに医療用のテープで補強をします。
(注)黒い線は縫合の目印で、傷ではありません。
2.術中カクテル注射
麻酔薬や炎症止めなどを混合した薬液を関節内に注射することにより、術後の痛みや腫れを軽減させます。
3.麻酔専門医による硬膜外チュービング
手術の時に背中からチューブを入れて持続的に麻酔液を注入して手術部の痛みを取ります。手術翌朝の痛みを全く感じない方も大勢いらっしゃいます。
4.痛み止めの内服薬
以前に比べて痛み止めの種類が増えました。異なる作用機序の痛み止めを組み合わせて術後の痛みを予防します。
4. 出血対策
- トラネキサム酸点滴、関節内注入
- 術中回収血(人工股関節の場合):出血した血を洗浄して体に戻します。
- 圧迫包帯法(人工膝関節の場合)
手術翌日の写真(血抜きの管が入っていないのに腫れがないことに注目して下さい。)
以前は自己血貯血といって事前に自分の血液を貯めておきましたが、現在の出血対策を行ってからは出血量が激減し、再置換、両側例を除き、人工股関節、膝関節とも原則、自己血が不要です。
クリーンルーム
塵埃を減らした部屋(清潔さが要求される工場などでも使われます)を使用し、宇宙服(頭から全身を覆う手術着)を着用して手術を行っています。
二重手袋
中に緑色の手袋をしてさらに上から通常の手術手袋を装着します。手袋に小さな穴が開いた場合、色が変わります。色が変わった場合にはもちろん、通常30分程度に一回は手袋の交換をしています。
難しい症例への対応が可能です。
①KTプレート(骨盤側)
術前写真
人工股関節の骨盤側が壊れ、骨が溶けてしまっています。
人工関節全体が頭側に移動してしまっています。
術後写真
院内骨バンク(手術の時に出た骨を滅菌処理して冷凍保存しています)を利用して股関節を再建しました。
②Impaction bone graft(大腿骨側)
最初の手術直後(28年前)
術前写真
大腿骨の中身が無くなって、 人工関節が骨の外に突出してきています。
術後写真
大腿骨に院内骨バンクの骨を詰めて固定しました。
③骨盤と大腿骨両側の巨大骨欠損例(KTプレート+ Impaction bone graft)
術前写真
移植骨を固定していたスクリューと人工骨頭が当たって、金属片が生じ、骨盤と大腿の骨を溶かしてしまった例。大腿骨の外側は骨がほぼ無くなっていました。
術後写真
院内骨バンク(手術の時に出た骨を滅菌処理して冷凍保存しています)を利用して股関節を再建しました。