成人理学療法科(成人PT)
成人理学療法科は2部門に分かれており、脳血管障害(脳卒中、頭部外傷など)は第1理学療法科、脊髄損傷、人工関節置換術後(股、膝、足)などは第2理学療法科が担当し、身体機能と身の回り動作能力の向上を目的に理学療法を提供しています。また、在宅・社会復帰へのサポートとして家屋訪問や外出リハビリ、福祉用具や補装具の評価・選定・作製を行います。その他、ロボットリハビリテーション、リハビリテーションスポーツ、高次脳グループ活動、CI療法などを取り入れ、積極的な理学療法に取り組んでいます。(2021年度 理学療法士 33名在籍)
成人理学療法科の取り組みについて
脳血管障害・頭部外傷後の理学療法(成人第1理学療法科)
脳損傷後に生じる運動麻痺や高次脳機能障害(記憶力・注意力低下など)に対して、日常生活の自立や社会復帰を目標に理学療法を行います。起きる・立つ・乗り移る・歩くといった日常生活で基本となる動作の獲得を目指し、退院後の生活に合わせた動作の練習や家屋改修の提案などを行います。医師、看護師など多職種間で連携をとりながら、よりよい社会復帰をサポートします。
リハビリ室、階段など様々な場面での動作練習
脊髄損傷後の理学療法(成人第2理学療法科)
脊髄損傷のリハビリテーションにおける千葉県の中核施設としての役割を担っており、高位頸髄損傷、脊髄損傷対麻痺、近年増加傾向にある高齢者の頸髄損傷不全麻痺に至る幅広い病態の患者さんに対応し、それぞれのニーズにあった自立生活や社会復帰を支援します。先進的なロボットリハや歩行支援機器を導入し積極的に歩行獲得に取り組んでいます。またリハビリテーション医学会や他施設と連携し、臨床データの蓄積や研究も行っています。
様々な歩行支援機器を用いた歩行練習、床から車いすに乗る練習
人工関節置換術後の理学療法(成人第2理学療法科)
手術前に身体の状態(痛い部位、関節の動き、筋力など)を把握し、手術後翌日から車いすに座る、立つ練習を開始します。個々の身体状態に合わせ、歩く練習や日常生活で必要な動作(浴槽のまたぎ、靴・靴下の着脱など)練習を行ない、術後3~4週間の退院を目標に理学療法を行います。手術前後には三次元動作解析を行ない、歩き方の変化をデータで説明しています。
リハビリ室での様子、屋外での歩行練習、動作解析装置での歩行解析
退院支援・社会復帰に対する取り組みについて
家屋訪問
よりよい退院後の生活を送るために患者さんのご自宅へ訪問し、家屋改修の評価・アドバイスを行います。
また、ご家族へ介助方法のアドバイスも行います。(2019年度 97件)
また、ご家族へ介助方法のアドバイスも行います。(2019年度 97件)
外出リハビリ
通勤や通学などの外出支援のため、公共交通機関を利用して市街地へ外出します。エスカレーターや人混みでの移動、公共交通機関の利用を評価・練習し、退院後の社会参加をサポートします。(2019年度 55件)
福祉用具、補装具の評価・選定・作製
日常生活を保持し、豊かな生活を送るために適切な福祉用具の選定やアドバイスを行います。また、個々に合った車いすや装具の作製に向けた評価を行います。
※福祉用具の詳細についてはこちらをご覧ください
※福祉用具の詳細についてはこちらをご覧ください
福祉用具展示室の展示品の例(左から、様々な種類の車いす、入浴補助具、移乗用リフト)
当センターの特徴的な取り組みの紹介
リハビリテーションスポーツ
リハビリテーションスポーツ(RS)はスポーツを通して心身の健康増進、体力の維持・向上、生活の質の向上を図ることを目的としています。入院患者さんへは車いす操作スキルの練習、外来RSでは車いすバスケットボール、更生園ではグループに応じた様々なスポーツレクリエーションを行います。
CI療法(Constrain-Induced Movement Therapy)
CI療法は、脳卒中片麻痺者の上肢に対するリハビリテーションの一つです。その方法は、麻痺していない手を三角巾やミットなどで使用を制限し、麻痺した手を集中的に訓練するというものです。機能回復を促すことで日常生活場面での使用の定着を促します。
当センターでは、1日5時間×2週間で実施しています。効果としては、上肢運動機能の改善、生活場面で麻痺している手の使いやすさ向上などを認め、脳卒中治療ガイドラインにおいても効果が認められている治療法です。
当センターでは、1日5時間×2週間で実施しています。効果としては、上肢運動機能の改善、生活場面で麻痺している手の使いやすさ向上などを認め、脳卒中治療ガイドラインにおいても効果が認められている治療法です。
高次脳グループ活動
高次脳機能障害の方を対象に週1回の集団スポーツ活動を通して、他者との協同作業の機会をつくります。グループ活動では自らの障害に気付き、コミュニケーション能力を高めることで社会復帰の準備を促す事を目的としています。また、スポーツ活動で楽しく身体を動かすことで入院生活によるストレスの軽減や体力の向上が期待できます。
ロボットリハビリテーション
電気刺激装置「L300」、リハビリテーション支援ロボット「ウェルウォークWW-2000」、歩行補助ロボット「HONDA 歩行アシスト」を用いた歩行練習を行っています。リハビリテーションに用いる訓練機器は日々進化しています。最新機器を効果的に活用した理学療法を提供しています。
左から「L300」、「ウェルウォークWW-2000」、「歩行アシスト」